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執筆者の写真AKIRA INOUE

師匠・高橋和敏(後編)

師匠が写真に興味がなかった話は前編で記したが、

事実、所謂「プロ」として活動したあとも、絞りや露出に関してのこだわりが少なく、

一見適当に撮ってるようだが、アガってくる写真はドンピシャなものしかなかった。


本人に質問した事がある。


「なんで、その場所に行っただけで光が分かるんですか?」と。


師匠は「分かるんだよ」としか言わなかった」

多分、場数を多く踏んでいるので、もう目が慣れてしまっていたのだろう。


また、機材にも一切こだわりが無く、

カメラは基本中古。現行機材の二代前が当たり前で、レンズも当初はF2.8通しのズームだったが、それが調子悪くなると、絞りが可変するズームを使っていた。


「どうせストロボ使って絞るから変わらんだろ」と。


撮影全般に渡って全てこの調子なので、当初は「大丈夫かな?」なんて思ったが、

実は機材スペックなんかよりも重要な事を、後々教えてくれたと今では思っている。


それは写真の中身と構図。光と影のバランス。

影の入りが綺麗だと、光の当たっている「見せたいところ」が際立ってくる。

構図が綺麗に収まっていると、安定感が出て上手と思わせる事が出来る。

何事もバランスの上に成り立っている事の重要性がわかってくる。


拘っているところが、写真の中身だった師匠の「直アシ」に約2年つき、

そのマインドに影響を受けて、自分は様々な事へのこだわりが少なくなり、

いつしか「対象物をバランスよく綺麗に写す」という事のみに執着するようになっていった。

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